霊導師・能城あや子はテレビの霊能番組で霊視をして依頼者の悩みを解決しているが、実は能城は霊能力など持っておらず、能城に協力する数人のチームで依頼者の身辺を調査した上で、それから導き出された助言を「霊視」によるものとして語っている。
インチキ霊媒師のトリックを暴くという話ではなく、インチキ霊媒により過去の事件の真相を探ったり、時には、結果として人助けをしたりするというストーリー。インチキ霊媒は相談者の身辺を調査して得られた情報を使用したり(ホット・リーディング)、あいまいな表現を使って相手が勝手に霊視があたっていたと思いこむようにし向けたり(マルチプルアウト)と、様々なテクニックを駆使して行われる。
例えば、「庭にある生け垣を撤去しないと良くないことが起こる」と言った場合、事故や病気のような良くないことはめったに起こらないため、相手が信じて生け垣を取り去った場合高確率で霊視が当たり、もし何か不幸が起こっても、「生け垣を撤去なかったらもっとひどいことが起きていた」とでも言えば霊視が外れたとは言えなくなる。
生け垣を残した場合事故が何かが偶然発生すれば当たったことになるし、何も起きなくても霊視を聞いた相談者は「良くないことが起こる」という言葉が気にかかり、ちょっとした悪いことでも大げさに感じて霊視が正しかったと思ってしまう。無論、対象者はこのように物事を信じやすい人を前もって選んでいる。
実際のテレビ番組でも見られるようなだましの手法の裏側をかいま見れるのは、霊能力の懐疑論者にはなかなか面白いだろう。
短編集なので大きな事件はなく、少し地味な印象もあるが十分楽しめる。
自分が特に面白いと思ったのは、ある変わった内職のアルバイトをしている女性が霊能相談をした後自殺してしまった『寄生木(やどりぎ)』と、何か過去を隠している女性の出てくる『目隠鬼(めかくしおに)』。どちらも想像とは違う意外な真相がありながら、全く異なった結末を迎える。
短編ではあるがそれぞれが多少の連続性を持ち、最終的にはチーム自体の過去が明らかになった後このチームの話はひとまず終わる。やや急な店じまいで、もう少し続けても良かったのではと思うが、それでも本当にこういったチームがいたら、冷静にこれからのことを考えてこの話のような事をしていただろう。
評価:☆☆☆☆
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